自毛植毛の一つであるマイクログラフト植毛

昔は植毛といってもカツラやウィッグで使用されるような人工毛を使用することが一般的だったのですが、最近では技術の発展によって自身の後頭部などの髪の毛を利用する自毛植毛が広まってきており、マイクログラフト植毛という方法がよく行われるようになりました。自毛植毛は1960年代からアメリカで広まったものであり、当時はパンチグラフト植毛という方法で15本程度の髪が生えている皮膚を1つの株として気になる部分に植毛していました。

職場
その15本ぐらいの髪がついた植毛株のことをパンチグラフトと呼んでおり、やがてパンチグラフトから4~8本程度のミニ・グラフト、1~3本程度のマイクログラフトというように1株あたりの髪の本数を少しずつ減らし、現在ではマイクログラフト植毛が主流となっています。ちなみに、パンチグラフトを行っていた時代でも、生え際などの目立つところにはミニ・グラフトやマイクログラフトによって自然な仕上がりに見せていたのですが、マイクログラフトが全体に使われるようになったのは、株を保存する技術や大量の髪を効率的に植え込む技術が発展したためなのです。

 

 

マイクログラフトはパンチグラフトよりも失敗のリスクがかなり少ないというメリットがありますし、実施後の患者の満足度も高いことからさまざまな医療機関で行われるようになりました。また、マイクログラフト植毛は比較的容易に実施できる手術なのですが、もちろん施術を行う医師の技術力はそれぞれ異なっているため、カウンセリングで過去の症例などをしっかりと確認することが大切であり、信頼できる医師に任せるようにしましょう。
手術ではまず後頭部からドナー部分の髪を切り取り、顕微鏡などを使用しながら個別の株に切り分けることになり、ドナーの株は乾燥させるとすぐに使用できなくなってしまうため、専用の液体につけて低温で保存されることになります。株分けの作業は数人で行っても数時間かかりますし、植え込む時間も同じくらいかかることになり、局部麻酔などにより手術中に痛みを感じることはほとんどないのですが、2~3時間で手術が終わるパンチグラフトとは違い、マイクログラフトでは手術に1日程度の時間が必要となります。

砂時計
基本的に1回目の手術では、薄毛の状態から薄くなりかけの状態に戻り、2回目の手術を受けることで普通に髪が生えている状態くらいに戻すことができるとされており、1回で30%の密度アップ、2回目で合計60%の密度アップを行うことが目標です。

 

 

ちなみに、マイクログラフトは1株が最小単位であり、ほぼ1本1本植え込むという形になっているため、薄毛の部分に幅広くデザインすることができますが、仕上がりの見た目に意識の高い医師の場合は10年後や20年後も考えてくれるため、まだ生えている部分に植毛することもあります。現在ではマイクログラフト植毛の一種でFUTという手法が広まっており、マイクログラフト植毛よりも慎重に株分けして、なるべくドナーの髪を無駄にしないように使うことが特徴であるため、より自然な仕上がりと生着率の高さを実現することができます。
ドナー採取の時にはざっくり切り取ってしまうのではなく、慎重に確認しながらドナーを切り取りますし、株分けする時も立体顕微鏡を使ったり、髪が自然に1~4本で固まっている毛包の集合単位による株分けを厳密に守ったりしています。
通常は1つの場所から数本の髪が束になって生えており、完全に1本1本に髪を分ける手法が提唱されたこともあったのですが、細かくしすぎると逆に毛包を傷つけたり、生着が悪かったりするデメリットがあるため、1~4本の束の単位がベストとされています。

畑

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